こだわりのいっぴん

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倉庫にあった石橋さんの鉋

当社の倉庫から出て来た鉋

今、造られている鉋は、注文してしばらく待てば大体手に入りますが、一旦廃業した方の作品は余程のことが無い限り、なかなか手に入れることが出来ません。
ところが、出来なくなった商品が欲しいのが人情だと思います。ですから、私も少しでも珍しい商品をみなさんにご紹介したいと思いまして、いつも八方手を尽くして探しております。

先日、社員が少し暇が出来たようで、暑い盛りに倉庫整理をしていました。
要らない物は捨てる積りで整理していた中に、捨てる前に私に見て欲しいという商品の一山を造りまして、「社長、この中に少し良さそうな品物がありますので、良品を選んで下さい。」と申しますので、調べたました。
そうしたら、なんと、その中の一つのダンボールの中に、まともな鉋が二十数枚もあり、ほとんどが石橋藤七さんの鉋だったのです。

石橋さんとのご縁については次をご覧下さい。こちらから
特売品として製作して頂いた3人衆も切れるということで大好評でしたが、この度、出て来た鉋は全て当社が通常品として製作して頂いた入念作です。
次の写真をクリックすると拡大写真を御覧頂けます。

「真空隼人」寸八・共裏
真空焼入で当時力を入れた鉋です。
ハイス「兵衛」寸八・共裏
鉋が売れた最後の頃の商品です。
ハイス「哲英」寸八
お客様指定のマークでした。
その他の鉋
亀千代と渦巻きが石橋さんの作品

「真空隼人」鉋について

昭和50年代のことでした。

鉋の新しい焼き入れ方法として真空焼き入れが人気となり、職人さんが次々に真空焼き入れをした鉋を発表しました。
当然、今でも真空焼入は出来るのですが、設備が高価で機械部品などを製造するメーカーなどにしか設備をしたいないために、一度に処理して頂く数を相当数揃えなれば処理してもらうことが出来ません。
高温から低温までの温度調節が自在に出来ますので理想的な焼入れが出来るため高価な機械部品などの焼き入れには無くてはならない設備なのですが、鉋の処理をしてもらおうとすると120枚のロットでなければならないこと、それだけの数を処理してもらっても1枚当りの焼き入れ加工代が普段より相当に高くなるため、鉋の需要が減った現在では事実上真空焼き入れは出来なくなったとのことです。

次は、真空焼き入れについてですが、私のハイス鋼鑿の説明に書いたものを引用しました。
真空焼き入れというのは、真空中で放射加熱して焼入れ温度まで上げ、不活性ガスの窒素によって急冷して焼き入れする方法です。
この方法の優れているのは全ての工程を真空中でするため、脱炭(表面の炭素が抜けて焼が甘くなること)や、浸炭(表面に炭素が侵み込んで硬度があがること)や、粒界酸化(鋼の粒子が酸化すること)などがなく鋼の組織が最良に保たれる事と、研磨した光った状態のままで焼きが入る事です。
また、鋼は全てゆっくり加熱することが良いとされますが、加熱には緩やかな温度上昇が可能で、冷やす時にはガス冷却ですので冷却温度を自由に設定して急冷することが出来ます。
これらの工程を全て真空中で行いますので、ほとんど変形が無く、仕上げしたままの状態で焼入れが行うことが出来るというとても優れた焼き入れ方法なのです。

鉋に貼るシールは印刷で作ると数千枚単位で作らねばなりません。当時、当社ではこの新しい鉋に力を入れることにしたために専用のシールを作ったほどでした。
左のシールがそれで、クリックすると拡大します。
今回の残りの鉋はその時のものです。

鋼は青紙1号ですが、生鉄は極軟鋼のようです。裏金も真空焼き入れした共裏です。
「真空隼人」の--横から




ハイス「兵衛」鉋について

やはり、昭和50年代のことです。電動工具の電気鉋、電気溝切機などの刃は全てハイスピード鋼(以後ハイスと略します)が使われていたために大工さんにもハイスが身近なものになっていました。

ハイスは硬度が高く、耐久性に優れますので刃物鋼としては多くの利点があるのですが、値段が高く、処理が今での刃物鋼と少し違ったために手道具の刃物には使われることが少なかったのですが、手鉋用のハイスが製造されるようになったようで、何軒かのメーカーからハイスで鉋を造らないかとの提案がありました。
当時、大手の木工機刃物のカネフサさんからも提案があり、当社のカクイのマークで製造してもらいましたが、石橋さんからご提案があったので製作してもらったのが、このハイス兵衛の鉋です。

鋼はハイス鋼で、製作工程の関係から生鉄は極軟鋼です。裏金は共裏です。
ハイス「兵衛」の--横から

1枚をお求めのお客様が削ろう会の常連の方で、刃だけでお買い上げ頂き、お使いになられてからご感想を下さいましたが、ハイスだから研ぎにくいかと思ったが、研ぎやすかったし、良く切れて長切れすると書いてきてくださいました。

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